今回もブログをご覧いただき、ありがとうございます。
incarnation Japan TERADAです。
イタリアへ戻り、少し落ち着いた頃。
ふと、2月から3月にかけて日本各地で開催したオーダーイベントのことを思い返していました。
その中で印象的だったのが、incarnationのレザージャケットを実際に着て来てくださる方がとても多かったことです。
着込まれることで生まれた皺。
艶の変化や、レザーの奥行き。
同じモデルでも、それぞれまったく違う空気を纏っていて、とても印象的でした。
「あの時のブルゾンが、こういう表情になっているんだ」
そんな新鮮な感覚が、どこか心に残っていました。
そして、その時に感じたことを、あらためてデザイナーに聞いてみました。
なぜincarnationのレザーは、着込むことで独特な表情へ変化していくのか。
そして、なぜ製品染めという方法にこだわり続けるのか。
今回は、そのことについて少し触れてみたいと思います。
ぜひ最後までご覧いただければ嬉しいです。
完成してから染めるということ

incarnationでは、多くのレザーウェアが「製品染め」によって仕上げられています。
一般的なレザーウェアは、革を染めてから裁断・縫製へ進むことが多いですが、製品染めでは、服として完成した後に丸ごと染色を行います。
縫い目の沈み方。
パーツごとの色の入り方。
革の厚みや部位による表情の差。
もちろん、簡単な工程ではありません。

製品染めでは、染色の工程を通して、革それぞれの質感や表情が少しずつ引き出されていきます。
そのため、染色後の状態を見ながら細かな調整を重ね、時間をかけて仕上げていきます。
そんな話をしている中で、作業中のデザイナーに改めて聞いてみました。
「なぜ、製品染めを続けるのか」
すると、手元のレザーを触りながら、「揃いすぎず、その革らしさが残るから」と。
さらに、「少し揺らぎがある方が、その人の着方や動きが入ってくる」とも話していました。
革そのものが持つ質感や揺らぎを残しながら、着る人によって少しずつ表情が変わっていく。
incarnationでは、そうした自然な変化を大切にしているとあらためて感じました。
レザーが持つ、本来の表情

デザイナーに、改めて「なぜそこまで製品染めにこだわるのか」を聞いてみました。
すると、こんな言葉が返ってきました。
「製品染めって、革そのものの表情が、そのまま出てくるんだよね」
完成後に丸ごと染色を行う製品染めでは、革本来の個体差や質感が、そのまま表情として現れてきます。
一方、一般的なレザーでは、表面を整えながら均一な仕上がりへ近づけていくものも多くあります。
それに対して製品染めでは、革ごとの質感や色の入り方の違いが、そのまま残りやすい。

だからこそ、incarnationでは、「PRIMO(プリモ)」と呼ばれる、革そのものの質感や繊維の表情を活かせる、等級の一番高いレザーを選び続けています。
製品染め後の革はその時の湿度や温度も吸収しながら、少しずつ表情を変えていきます。
一見すると均一に見える黒でも、光の当たり方によってわずかに色が揺らぎ、奥行きのある表情が現れる。
「均一じゃないからこそ、色にも奥行きが出る」
という言葉通り、光の当たり方や革の厚み、部位ごとの繊維の違いによって、色の濃淡や揺らぎも少しずつ生まれていきます。
一色で塗りつぶされたようなトーンではなく、見る角度や着込んだ時間によって表情が変わっていく。
その不均一さもまた、製品染めならではの魅力なのかもしれません。
製品染めとパターンの関係

incarnationでは、肩から袖までを一枚で繋げた「ワンピースアーム」の構造を多く採用しています。
これは単なるデザインではなく、製品染めによって生まれる表情を、できる限り自然に繋げるため。
パーツを細かく分けすぎると、染め上がった時に革の表情や艶の流れが途切れてしまうことがあります。
そのため、腕まわりなど表情を繋げたい部分は、できる限り剥ぎを減らしてパターンを構成しています。
デザイナーも、「パーツを分けすぎると、革の流れが止まってしまう」と話していました。
製品染めという加工方法は、加工だけで完結するものではなく、パターンや構造にも大きく影響しています。

レザーの表情をどう見せるか。
その考え方は、デザインだけでなく、服の構造そのものにも繋がっているのです。

変化していく、その先に
今回、日本でお客様が実際に着込まれているレザーを見る中で、改めて感じたことがありました。
incarnationのレザーは、完成した瞬間が終わりではなく、そこから少しずつ表情を変えながら、その人の空気に馴染んでいくということ。
同じモデルでも、着る人によって皺の入り方も艶の出方も異なり、それぞれがまったく違う存在になっていました。
製品染めは、効率だけを考えれば決して合理的な方法ではありません。
けれど、均一ではない表情や、着込むことで生まれる変化。
その途中にある美しさを大切にしているからこそ、incarnationは製品染めという方法を選び続けているのだと思います。
今回のブログを通して、incarnationのレザーが持つ空気感や、その背景にある考え方を少しでも感じていただけたら嬉しく思います。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
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